住宅ローンを滞納したまま引っ越せる?──退去の順番と、次の住まいの審査

※当サイトは不動産会社(城久株式会社)が運営しています。当ページには当社の売却相談の案内が含まれます。

先に結論をお伝えします。

  • 住宅ローンを滞納したまま引っ越すこと自体を禁じる法律はありません。ただし、返済の義務・抵当権・競売の手続は、家と一緒に残ります。引っ越しても、滞納の問題は1つも消えません
  • いちばん損をするのは、債権者に新しい住所を知らせずに出ていくことです。通知が届かなくなり、残り時間を知らないまま競売が進みます
  • 順番は「売り方を決める → 次の住まいを確保する → 引渡しの日に合わせて退去する」です。先に家を空けても、売却の手続は早くなりません
  • 信用情報は、たとえばCICでは61日以上または3か月以上の延滞が「異動」として登録され、契約終了後5年間保有されます。次の住まいの審査にどう影響するかは各社の判断で、公表されていません
  • 今週やることは、①届いた通知書で自分の段階を確認する ②債権者の窓口に住所の届出方法を確認する、の2つです

「家を出れば、少なくとも督促からは離れられるのでは」「もう住んでいられないので、先に賃貸に移りたい」。滞納が続くと、こう考えるのは自然なことです。一方で、引っ越しのやり方と時期を間違えると、選べたはずの道が先に消えてしまいます。

この記事では、滞納中に引っ越すと何が残り何が変わるのか、段階ごとの引っ越しの時期、次の住まいの審査と信用情報の事実、費用と相談先を整理します。滞納から競売までの全体の流れは柱記事「住宅ローンを滞納するとどうなる?」に、月数の目安つきでまとめています。

滞納したまま引っ越すと、何が残るのか

引っ越しで変わるのは「住んでいる場所」だけです。家とローンにまつわる義務の多くはそのまま続きます。

項目 引っ越した後 注意点
ローンの返済義務 残る。遅延損害金も増え続ける 家を出ても債務者であることは変わらない
抵当権・競売の手続 残る。空き家でも手続は進む 執行官の現況調査は、必要があれば閉鎖した戸を開いて行える
固定資産税 残る 毎年1月1日時点の所有者に課税される
マンションの管理費・修繕積立金 残る 売却時に精算が必要になることがある
住宅ローン控除 原則として受けられなくなる その年の12月31日まで引き続き住んでいることが要件

※現況調査は民事執行法第57条、固定資産税の賦課期日は総務省「固定資産税の概要」、住宅ローン控除の居住要件は国税庁タックスアンサー「住宅借入金等特別控除」によります。家族が住み続ける場合など、個別の扱いは税務署で確認してください。

もう1つ知っておきたいのが、住宅ローンの多くは本人や家族が住むことを前提にしている点です。住宅金融支援機構の【フラット35】は自ら住む住宅のための融資で、無断で第三者に貸したり住まなくなったりすると、契約違反として融資金の一括返済を求められることがあると案内されています。「家を貸して家賃でローンを払う」という案は、債権者の同意なしには進められないと考えてください。

「黙って引っ越す」がいちばん損な理由

滞納の通知は、債権者が把握している住所に届きます。引っ越しを知らせずにいると、催告書・代位弁済通知・競売開始決定といった、残り時間を知らせる書面を受け取れなくなります。気づいたときには入札が始まっていた、ということが起こりえます。

住宅金融支援機構は、住所や電話番号が変わったときは返済中の金融機関に必ず届け出るよう案内しています(住宅金融支援機構「住所・氏名等の変更」)。他の金融機関の住宅ローンでも、契約書に住所変更の届出の定めがあるのが一般的です。お手元の契約書で確認してください。

連絡がとれることは、売る側にとっても大事です。任意売却は債権者の同意を得て売る手続なので、売出価格の確認や抵当権抹消の審査のたびに、債権者とのやりとりが必要になります。連絡がつかない債務者の家は、同意の段取りが進まず、結果として競売に向かいやすくなります。

郵便局に転居届を出すと、旧住所あての郵便物を届出日から1年間新住所に転送してもらえます。ただし、これは届出の代わりにはなりません。届く郵便が転送の対象になるかは差出人の出し方によるため、債権者には新住所を直接伝えてください。

返済が苦しくなった家の売却は、当サイト運営の城久株式会社(宅地建物取引業 東京都知事(1)第114307号/取引態様:当社が買主となる売買(直接買取)または媒介)がご相談をお受けしています。事情のある家も、まずご相談ください。売却について相談する(お電話 03-6824-4499/受付 10:00〜18:00)

段階別:引っ越しの時期と、先にやること

引っ越してよいかどうかではなく、今の段階で、引っ越しより先に何を済ませるかが大事です。時期は目安で、金融機関・裁判所により前後します。

今の段階 引っ越しより先にやること 退去の時期の考え方
督促状(滞納2〜3か月の目安) 返済条件の変更を金融機関に相談。家の価格と残債を確認 住み続ける道がまだ残っている。急いで出る理由は少ない
催告書(3〜6か月の目安) 売却の準備を始める。売り方(任意売却か買取か)を決める 売買契約の引渡し日に合わせて決める
期限の利益喪失・代位弁済 新しい交渉相手(保証会社など)の窓口を確認し、住所を届け出る 売却の段取りと並行して住まいを探す
競売開始決定 開札期日の前日までに売却がまとまるかを早く見極める 現況調査には在宅で応じるほうが手続を把握しやすい
落札・代金納付の後 買受人との退去日の話し合い 買受人は代金納付から原則6か月以内に引渡命令を申し立てられる

※引渡命令の申立期間は裁判所の不動産競売物件情報サイト(BIT)の解説によります。

各段階の詳しい見分け方は「催告書と督促状の違い」「代位弁済通知が届いたら?」「競売開始決定通知が届いたら?」で整理しています。

任意売却でも買取でも、売買契約で引渡し日を決めます。住み続けたまま売却を進め、引渡し日に合わせて退去するのが、二重の住居費を避けるうえでも合理的です。販売活動の期間がどれくらいかかるかで退去の時期が変わるため、売り方の違いは「任意売却と買取の違い」で確認してください。

次の住まいの審査と、信用情報の事実

次の住まいを借りるときの心配は、信用情報です。ここは事実だけを整理します。

信用情報機関 延滞などの登録 保有・登録期間
CIC 61日以上または3か月以上の延滞、保証会社による代位弁済などを「異動」として登録 契約期間中および契約終了後5年間
JICC 返済状況(延滞など) 2019年10月1日以降の契約は契約継続中および契約終了後5年以内
全国銀行個人信用情報センター 延滞・代位弁済などの取引情報。破産・民事再生の官報情報 取引情報は契約終了日(完済していない場合は完済日)から5年を超えない期間。官報情報は決定日から7年を超えない期間

賃貸住宅の入居審査で、家賃保証会社などが信用情報を見るかどうか、何を基準にするかは各社が公表していません。そのため「必ず落ちる」「影響しない」のどちらも言えません。確かめられるのは次の2点です。

  • 申込書の同意条項を読む。信用情報機関の名前と、照会への同意が書かれていれば、その機関の情報が照会されうる、ということです
  • 自分の情報を開示で確認する。各機関で本人開示を請求でき、何が登録されているかを自分で見られます

登録されている内容は、事実と異なる場合を除いて、本人の希望で消すことはできません。審査に不安があるときは、申込みの前に不動産会社へ事情を伝えて、審査の方法を確かめておくと、無駄な申込みを減らせます。

引っ越しの費用と、当面の住まいの支え

引っ越しには、新居の初期費用と運送の費用がかかります。任意売却で「引越し代は売却代金から出せる」と説明されることがありますが、売却代金から何を差し引けるかは債権者が決めることで、事前に約束できるものではありません。公的な案内で確認できる控除の例は、仲介手数料や抵当権抹消の登記費用等までです。詳しくは「任意売却の費用はいくら?」で整理しています。

収入が大きく減って家賃の支払いが不安な場合は、住居確保給付金の対象になるかを確認してください。厚生労働省の資料では、離職・廃業から2年以内の方や、本人の責任によらず同程度まで収入が減った方などが対象で、収入・資産の基準と求職活動の要件があり、家賃相当額(上限あり)が原則3か月、延長により最長9か月支給されるとされています(厚生労働省のリーフレット)。対象になるかどうかや金額は自治体ごとに異なるため、お住まいの自治体の自立相談支援機関で確認してください。

つまずきやすい点

・家を先に空けると、住居費が二重にかかり、滞納がさらに増えやすくなる
・家具などを残したまま出ると、売却や引渡しの段取りで片付けが必要になる
・住民票を移しただけでは、債権者への届出にはならない
・連帯保証人や連帯債務者がいる場合、引っ越しても相手への請求は止まらない

相談先の切り分け

借金・残債の問題 → 弁護士・司法書士

売却後に残る債務の返済方法や減額の交渉、自己破産・個人再生の検討。これらは弁護士・司法書士の業務です。不動産会社の業務ではありません。費用が心配な場合は、法テラスの民事法律扶助で、収入と資産の基準を満たせば無料の法律相談や費用の立替えを受けられる場合があります。専門家は日本弁護士連合会や日本司法書士会連合会から探せます。

家の売却と引渡しの時期 → 宅地建物取引業者(不動産会社)

家がいくらで売れるか、いつ引渡しになるか、退去の時期をどう合わせるか。

当面の生活と家賃の支え → 自治体の自立相談支援機関

今日できること

  1. 届いた通知書を日付順に並べる。督促状か催告書か、代位弁済通知や競売開始決定が来ているかで、引っ越しの前にやることが決まります
  2. 債権者の窓口に、住所変更の届出方法を確認する。引っ越す前に、どこへ何を出すかを把握しておきます
  3. 家がいくらで売れるか、残債はいくらかを確かめる。売り方と引渡しの時期は、この2つの数字で決まります
  4. 信用情報を開示して、登録内容を見ておく。次の住まいの審査に備える材料になります
  5. 収入が減っているなら、自治体の自立相談支援機関に住居確保給付金の対象か問い合わせる。

引っ越しは、滞納から離れる手段ではなく、売却の段取りの最後の工程です。順番を守れば、退去の時期を自分で決められる余地が残ります。

よくある質問

Q. 住宅ローンを滞納したまま引っ越すのは違法ですか?
引っ越すこと自体を禁じる法律はありません。ただし返済義務や抵当権、競売の手続はそのまま残ります。ローンの契約で住所変更の届出が定められているのが一般的なので、債権者には新住所を届け出てください。

Q. 家を空き家にすれば、競売は止まりますか?
止まりません。執行官の現況調査は、必要があれば閉鎖した戸を開いて行えると民事執行法で定められています。住んでいないことは、競売を止める理由になりません。

Q. 滞納中でも賃貸住宅を借りられますか?
審査の基準は家賃保証会社などが公表しておらず、一律には言えません。申込書の同意条項で信用情報の照会の有無を確かめ、各信用情報機関で自分の登録内容を開示して確認しておくと判断しやすくなります。

Q. 引越し費用は売却代金から出してもらえますか?
債権者の判断で、事前に約束できるものではありません。公的な案内で確認できる控除の例は、仲介手数料や抹消登記費用等です。説明を受けたときは、誰がどの書面で認めたのかを確認してください。

Q. 競売で落札されたら、すぐに出なければいけませんか?
買受人は代金を納付した後、原則6か月以内に引渡命令を申し立てることができ、命令が確定すると明渡しの強制執行に進みえます。最終段階の流れは柱記事で確認し、届いた書面の日付と内容を見落とさないでください。

この記事について:滞納の味方 編集部(城久株式会社/宅地建物取引業 東京都知事(1)第114307号)が作成しています。不動産の実務に関する記述は、当社の宅地建物取引士が確認しています。

債務整理・債権者との交渉は弁護士・司法書士にご相談ください。 最終更新日:2026年10月29日

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