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先に結論をお伝えします。
- 「督促状」はまだ初期段階、「催告書」は最終通告です。どちらが届いているかで、残り時間はまったく違います
- 催告書は、多くの場合「期限までに払わなければ期限の利益を失い、残債を一括請求する」という内容です。指定された期限が、実質的な分岐点になります
- 催告書の期限を過ぎると、分割で払う権利(期限の利益)を失い、残債の一括請求に切り替わります
- 督促状の段階なら返済条件の相談ができる余地がまだ残っています。催告書が来ているなら、今週中に家の売却査定と、借金側の相談窓口の両方に連絡してください
「督促状」と「催告書」は、どちらも滞納を知らせる書面という点では同じに見えますが、法的な意味も、残されている時間も大きく異なります。届いた書面がどちらなのかを取り違えると、まだ相談できるはずの選択肢を逃してしまうことがあります。
この記事では、2つの書面の違いを整理し、今どちらが届いているかで、自分が全体の流れのどの位置にいるかを診断できるようにします。滞納から競売までの全体像は、柱記事「住宅ローンを滞納するとどうなる?」で月数つきで整理していますので、まだの方は先にご覧ください。
督促状と催告書、何が違うのか
結論から言うと、両者は厳しさの段階が違います。
| 督促状 | 催告書 | |
|---|---|---|
| 送られる時期 | 滞納の初期(目安2〜3か月) | 滞納が続いた段階(目安3〜6か月) |
| 内容 | 「滞納分(数か月分)を払ってください」という請求 | 「指定期限までに払わなければ法的手続きに移る」という最終通告 |
| 請求額 | 滞納している分割分のみ | 滞納分、または今後の残債全額(一括請求に切り替わる予告) |
| 送付方法 | 普通郵便が多い | 内容証明郵便が使われることが多い |
| この段階でできること | 返済条件の変更(リスケジュール)の相談余地がまだ大きい | 相談できる場合もあるが、期限までの対応が前提になる |
※上記は一般的な目安です。金融機関・保証会社の運用によって名称や時期は前後します。ご自身の状況は、必ず届いた書面に記載された内容でご確認ください。
催告書に内容証明郵便が使われやすいのは、届いた日付と内容を証拠として残す目的があるためです。民法上、催告(一定の行為を求める通知)があった時から6か月間は時効の完成が猶予されるとされており(民法第150条)、送付側にとっても到達の証明に意味があります。受け取る側にとっても、「いつ、どんな内容の通知が届いたか」は今後の対応の基準になる重要な記録です。
どちらが届いたかで分かる「今の自分の段階」
柱記事の月数表と合わせると、届いている書面の種類から、自分がおおよそどの位置にいるかを診断できます。
自己診断
督促状しか届いていない → 滞納初期(目安2〜3か月)。返済条件の変更を相談できる可能性がまだ高い段階です
催告書が届いた → 滞納が進んだ段階(目安3〜6か月)。期限の利益を失う一歩手前です。競売の入札開始までの残り時間は、目安で4〜9か月程度しかありません
催告書の期限を過ぎて一括請求の通知が来た、または交渉相手が保証会社に変わった → すでに期限の利益を失っている可能性があります。この段階については「代位弁済通知が届いたら?」で詳しく整理しています
ここで大事なのは、督促状の時点で動くのと、催告書が来てから動くのとでは、相談できる選択肢の幅が違うという点です。督促状の段階であれば、返済条件の変更(リスケジュール)を含めて相談できますが、催告書が来てからは、期限までに結論を出す必要があります。
催告書の期限を過ぎるとどうなるか(期限の利益の喪失)
「期限の利益」とは、分割で払ってよいという債務者側の権利のことです。民法上、期限は原則として債務者の利益のために定められたものと推定されます(民法第136条)。しかし、住宅ローンの契約書には通常、一定回数以上の滞納が続いた場合に期限の利益を失うという条項(期限の利益喪失条項)が定められています。何回の滞納で喪失するかは金融機関ごとの契約内容によって異なり、目安として3〜6回分程度とされることが多いですが、正確な回数と条件は、ご自身の金銭消費貸借契約書でご確認ください。
期限の利益を失うと、それまでの「毎月いくら払う」という分割払いの権利がなくなり、残債全額を一括で返済する義務に切り替わります。催告書は、多くの場合この一括請求に移る直前の最終通告として送られてくる書面です。つまり、催告書に書かれた期限=分割払いの権利が残っている最後の期限と考えて対応するのが安全です。
なお、住宅ローンの提供元によって、この先の流れは分かれます。民間金融機関の多くは保証会社と契約しており、期限の利益を失った後は保証会社による代位弁済に進むのが一般的です。一方、住宅金融支援機構の「フラット35」など、保証会社を介さない商品もあります。自分のローンがどちらの形かは、契約時の書面でご確認ください。
今、選べる選択肢
① 返済条件の変更(リスケジュール)
返済期間を延ばす、一定期間だけ元金の返済を据え置くなどの方法です。督促状の段階であれば相談できる余地が大きく残ります。催告書が届いた後でも、金融機関によっては個別の事情に応じて相談に応じる場合がありますが、対応は金融機関の判断次第です。届いた書面に記載された連絡先に、早めに相談してみる価値があります。
② 任意売却
金融機関(または保証会社)の同意を得て、市場で買主を探して売る方法です。競売より高く売れやすい一方、買主を探す販売活動に一定の期間が必要です。催告書が届いた段階であれば、まだ間に合う可能性が十分にあります。早めに不動産会社へ相談し、販売活動に入れる状態を作ることが重要です。
③ 不動産会社による直接買取
不動産会社が自ら買主になる方法です。買主を探す活動が不要なため、販売活動の期間がいりません。期限の利益をすでに失っていて残り時間が少ない場合でも、選択肢として検討できます。価格は市場での売却より低くなりやすい一方、価格や引き渡し時期を決められる点で競売とは異なります。
④ 競売
何も対応しないまま進むと、この段階に至ります。価格も引き渡し時期も自分では選べません。
相談先を分けてください
この段階では、「借金の問題」と「家の問題」という2つの別の問題が同時に進んでいます。相談先も分かれます。
借金の問題 → 弁護士・司法書士
返済条件の交渉、債務の圧縮、自己破産や個人再生の検討。これらは弁護士・司法書士の業務です。不動産会社が代理することはできません。収入や資産が一定の基準以下であれば、法テラスの民事法律扶助で無料の法律相談を利用できる場合があります。
家の問題 → 宅地建物取引業者(不動産会社)
家がいくらで売れるか、任意売却や買取にどれくらいの時間がかかるか。これは不動産会社の仕事です。
このサイトでは、個別の売却のご相談はお受けしていません。家の売却は任意売却を扱う不動産会社に、借金そのものについては弁護士・司法書士にご相談ください。
今日できること
- 届いた書面が督促状か催告書かを確認する。書面のタイトルと文面(「一括請求」「期限の利益」といった言葉があるか)で判断できます
- 催告書に記載された期限を確認する。この期限が、分割払いの権利が残っている最後の目安です
- 家がいくらで売れるか、目安をつかむ。査定は無料で、数日で結果が出ます
- 返済条件について不安があれば、早めに金融機関または弁護士・司法書士に相談する。督促状の段階であるほど、相談できる選択肢が広く残っています
この4つは同時に進めて構いません。届いている書面が督促状であっても、家の査定だけは先に済ませておくと、その後の判断がしやすくなります。
よくある質問
Q. 督促状を無視したら、すぐに競売になりますか?
いいえ、督促状の段階ですぐに競売になることは一般的にありません。ただし、対応しないまま滞納が続くと、催告書、期限の利益の喪失、そして競売へと段階が進んでいきます。督促状が届いた時点で連絡先に相談することをお勧めします。
Q. 催告書に書かれた期限までに、滞納分の一部だけ払ったらどうなりますか?
一部の支払いだけで期限の利益の喪失を回避できるかは、契約内容と金融機関の判断によります。自分で判断せず、必ず書面に記載された連絡先に、どこまで払えば期限内の対応として認められるかを確認してください。
Q. 督促状も催告書も届いていないが、電話での催促だけが続いている。どの段階ですか?
電話での催促は、督促状より前の初期段階で行われることが多いです。書面が届く前の段階であれば、返済条件の相談ができる余地はまだ大きく残っています。
Q. 催告書に記載の期限を過ぎてしまいました。もう任意売却はできませんか?
期限を過ぎて期限の利益を失っても、任意売却ができなくなるわけではありません。法律上は競売の開札日の前日まで可能とされていますが、買主を探す販売活動に時間がかかるため、早めに不動産会社へ相談することが重要です。
Q. 督促状や催告書は、家族にも届きますか?
基本的には住宅ローンの名義人(債務者)宛てに届きます。連帯保証人や連帯債務者、ペアローンの相手方がいる場合は、その方にも別途通知が届くことがあります。契約時の書面で、通知が届く範囲を確認しておくと安心です。
状況別に詳しく読む
この記事について:滞納の味方 編集部(城久株式会社/宅地建物取引業 東京都知事(1)第114307号)が作成しています。
債務整理・債権者との交渉は弁護士・司法書士にご相談ください。 最終更新日:2026年10月1日
