※当サイトは不動産会社(城久株式会社)が運営しています。
先に結論をお伝えします。
- 滞納から競売の入札開始までは、おおむね10〜12か月です
- ところが任意売却は、買主を探す活動に6〜11か月かかります
- つまり「催告書が来てから動き始めると、任意売却は時間的に間に合わないことがある」。これがこの問題の本質です
- 残り時間が短いときに選べるのは、販売活動の期間がいらない方法です
住宅ローンの滞納は、お金の問題である前に時間の問題です。そして厄介なのは、時間が減っていることが通知書の文面からは読み取りにくい点にあります。「督促状」と「催告書」はどちらも強い言葉で書かれていますが、残り時間はまったく違います。
この記事では、滞納が始まってから家を失うまでに何が起きるのかを月数で並べ、どの段階でどの選択肢が消えるのかを整理します。買取側で300件以上の不動産を扱ってきた立場から、価格と期限の両方を見て書きます。
滞納から競売までの流れ(月数の目安)
金融機関や保証会社の運用によって前後しますが、一般的にはこの順で進みます。
| 時期 | 起きること | この時点の意味 |
|---|---|---|
| 1か月 | 引落不能の通知 | まだ事務連絡の段階。選択肢は全部残っている |
| 2〜3か月 | 督促状・電話での催告 | 返済条件の変更を相談できる最後の時期 |
| 3〜6か月 | 催告書(最終通告) | ここが実質的な分岐点。売却の準備を始める期限 |
| 4〜7か月 | 期限の利益喪失(通算6か月程度が一般的) | 分割で払う権利が消える。残債の一括請求に変わる |
| 5〜8か月 | 代位弁済の実行 | 交渉相手が銀行から保証会社・サービサーに変わる |
| 10〜12か月 | 競売の入札開始 | 開札日の前日を過ぎると任意売却はできない |
| 1〜1.5年 | 落札・引き渡し(退去) | 引越し時期を自分で決められない |
※上記は一般的な目安です。金融機関・保証会社の運用、滞納の経緯、物件の状況によって時期は前後します。ご自身の期限は、必ず届いた通知書面の日付と内容でご確認ください。
この表でいちばん大事な行は「催告書」です
多くの方が動き出すのは、催告書が届いたとき、あるいは代位弁済通知が届いたときです。文面が急に厳しくなるので、驚いて相談に動かれます。
ところが、ここで引き算をすると問題が見えてきます。
残り時間の引き算
競売の入札開始まで 10〜12か月
催告書が届くのが 3〜6か月の時点
→ 残り時間は 4〜9か月
一方で、任意売却が買主を見つけるまでに必要な販売活動は 6〜11か月。
さらに債権者の社内決裁や書類作成があるため、入札開始の2週間前までに交渉をまとめておく必要があります。
数字が合いません。催告書が届いた時点で動き出しても、任意売却は間に合わないことがある、ということです。代位弁済通知が届いてからならなおさらです。
これは任意売却が悪い方法だという話ではありません。早い段階なら任意売却がいちばん合理的です。競売より高く売れるので、債権者にとっても有利で、だから同意も得やすい。実際、競売が取り下げられる理由の約9割は任意売却の成立だとされています。問題は「早い段階なら」という条件が、気づいたときには過ぎていることがある点です。
選択肢は4つ。消える順番が決まっています
時間の経過とともに、上から順に使えなくなります。
① 返済条件の変更(リスケジュール)
返済期間を延ばしたり、一定期間の元金返済を据え置いたりして、毎月の負担を下げる方法です。家を手放さずに済む唯一の道なので、可能ならこれが第一候補です。滞納が浅いうちにしか相談できません。期限の利益を喪失した後は、原則として選べません。
② 任意売却
債権者の同意を得て、市場で買主を探して売る方法です。競売より高く売れやすく、引き渡し時期も相談できます。法律上は競売の開札日の前日まで可能ですが、実務上は販売活動の期間が必要なので、残り6か月を切ると現実的に厳しくなります。
③ 不動産会社による直接買取
不動産会社が自ら買主になる方法です。買主を探す活動が不要なので、販売活動の期間がゼロになります。そのため、任意売却が時間的に間に合わない段階でも選択肢として残ります。市場価格よりは安くなりますが、競売の落札価格は市場価格を大きく下回ることが一般的なので、競売と比べれば手元に残る額は大きくなりやすいです。
④ 競売
何もしなければここに着きます。価格は選べず、引き渡し時期も選べません。残債が消えるわけでもありません。
相談先を間違えないでください(ここを混同すると時間を失います)
この問題は2つのまったく別の問題が同時に起きています。相談先も別です。
借金の問題 → 弁護士・司法書士
債務の圧縮、返済計画の変更、債権者との交渉、自己破産・個人再生。これらは弁護士・司法書士の業務です。不動産会社が代理することはできません。
家の問題 → 宅地建物取引業者
家がいくらになるか、いつまでに現金化できるか。これは不動産会社の仕事です。
当サイトを運営する城久株式会社は宅地建物取引業者であり、債務整理の相談や債権者との交渉の代理は行いません。このサイトでは、個別の売却のご相談もお受けしていません。家の売却は任意売却を扱う不動産会社に、借金は弁護士・司法書士にご相談ください。借金そのものについては弁護士・司法書士にご相談ください。
滞納の背景が「離婚」や「相続」なら、先に読むべきものがあります
住宅ローンの滞納は、それ単体で起きることより、生活の変化をきっかけに起きることが多いです。きっかけ別に、事情が変わる点を整理しています(いずれも当社が運営する姉妹サイトです)。
離婚がきっかけの場合
名義人が家を出て、元配偶者と子が住み続ける形がいちばん危険です。滞納の通知は名義人にしか届かないため、住んでいる側は気づけません。気づくのは催告書や競売開始決定が届いたとき=すでに残り時間が少ない段階です。連帯保証やペアローンが絡むと、売却しただけでは保証から外れない問題も出ます。
→ 離婚の味方:離婚で住宅ローンが払えない──滞納する前にできる3つのこと
相続がきっかけの場合
相続した家に住宅ローンが残っていた、というケースです。団体信用生命保険で完済される場合とされない場合があり、そこで扱いが大きく変わります。相続登記を終えないと売却そのものができない点も、滞納と並行すると時間を食います。
→ 相続の味方:相続した不動産の売却 完全ガイド
注意してほしいこと:費用の名目
この分野には、「任意売却コンサルティング料」などの名目で費用を請求する事業者がいます。滞納している方に手元資金がないことは明らかなので、この請求自体が不自然です。
仕組みを知っておくと判断できます。任意売却は、宅地建物取引業者が媒介(仲介)として行うなら、受け取れるのは法律で上限が決まった仲介手数料です。直接買取なら、そもそも仲介手数料は発生しません。どちらの形でも、別名目のコンサルティング料が必要になる理屈はありません。費用の名目を必ず確認してください。
今日できること
- 届いた通知書を日付順に並べる。督促状か催告書か、代位弁済通知が来ているか。これで自分の位置が分かります
- 残債の額を確認する。返済予定表か、債権者からの通知に記載があります
- 家がいくらで売れるかを把握する。残債と売却額の差で、選べる道が決まります
- 借金の相談は弁護士・司法書士へ。家の相談は不動産会社へ。同時に進めて構いません
順番として、3番目を先に済ませるのが有利です。金額が分からないまま弁護士に相談しても、方針を決める材料が足りません。査定は無料で、数日で出ます。
滞納は、放置している期間がいちばん高くつきます。残り時間が減るほど選べる道が減り、手元に残る額も減ります。逆に言えば、今日動けば、まだ選べる道が残っています。
状況別に詳しく読む
- 代位弁済通知が届いたら?──交渉相手が保証会社に変わる意味と残り時間
- 催告書と督促状の違いとは?──住宅ローン滞納の残り時間を自己診断
- オーバーローンで家が売れない?──残債が売却額を上回るときの手順と費用
この記事について:滞納の味方 編集部(城久株式会社/宅地建物取引業 東京都知事(1)第114307号)が作成しています。不動産の実務に関する記述は、当社の宅地建物取引士が確認しています。
債務整理・債権者との交渉は弁護士・司法書士にご相談ください。 最終更新日:2026年10月10日
